左車線が事実上追い越し車線として使われているのは、名古屋に顕著に見られる傾向です。
どの地域でも、あるいは高速道路上でも、追い抜きを右車線からだけではなく、空いている左車線から行うことは、比較的よくみられる運転です。
ただ、左車線に速い車が走っていることが多い、というのは名古屋に特徴的なことのように思えます。
目次
1. 速い車は左車線を走る?
5車線ぐらいあるとても広い道ではあまり見られませんが、2・3車線の道路では、一番右の車線より一番左の車線を速い車が走行している頻度は高いと思います。
その理由の1つは、左車線に駐車車両が多く頻繁に右車線に割り込みをしなければいけないので、一般の車両は左車線を走りたがらないことです。名古屋に特有とまでは言いませんが、左車線に駐停車している車が非常に多いのです。
もう1つは、名古屋の車線が広い、ということがあります。一番左の車線に駐停車している車があっても、少しだけ右にはみ出すか、あるいはギリギリはみ出さないぐらいで、左車線を走り続けられる道も比較的多いです。
初めて名古屋で運転をした時、「なぜ、左車線を走る車が少ないのだろう?」と思い、私自身左車線を頻繁に走りました。確かに駐車車両が邪魔なことも多かったのですが、穏やかによくタイミングを見て右車線に車線変更をしながら走れば問題ないと感じました。
しかし、しばらく走っているうちに、左車線を走る車の多くが、右車線を走る車よりスピードを上げて、前へ前へと急いでいることがわかりました。前を抜きたくてうずうずしているという感じです。こういう車は、駐車車両を、または遅い前車を避けるために頻繁に右車線にはみ出します。そして、ウインカーを出さないで出てくる場合も多いのです。
他の地域でも、先を急いでいる車が、何度も割り込みするつもりで一番左の車線を走る光景は見られますが、名古屋でスピードを出したい車というのは、基本的に空いている場所を少しでも見かけたらそこに入る、ということを是としているようで、他の地域よりも頻度は高いように思います。
事実、3車線の箇所が多く、交通量も多い東山通などでは、一番左の車線が一番速いスピードで流れているという光景は良く見かけます。右の車線にウインカーなしではみ出して走行したり、駐車車両すれすれに走行して車線内を走行する、その際、右車線より時速20キロ程度速いスピード、ということも珍しくありません。
しかし、左車線は、歩道にも近い、自転車が走行している等、色々と気を遣う運転をすべき車線でもあります。
左車線をかっとぶ行為は、決して褒められた運転ではないと思います。
2. 左車線からのはみ出しや割り込みは他人への甘えか?
名古屋では、左車線を走っている車が、駐車車両があると右車線に当たり前のようにはみ出すのがルールのようにも見えます。
その都度、はみ出された右車線の車はブレーキを踏む必要があります。はみ出す方の車は、右車線の状況を見て、「はみ出せるならはみ出す」という感覚ではないのです。
そのため、右車線の車間が1台を割り込みさせるのに足りないような場合でも、平気ではみ出そうとしますし、ウインカーを出さない場合すらあります。
関東地域等、他の地域では、こういう挙動の車を割り込みさせない車も多いはずで、こういった運転とバッティングすると、接触事故の危険があります。
しかし、名古屋では、はみ出してくる車の後続車の方が気を遣うのが当たり前、という風潮があるように思います。
ある日、名古屋の友人と車に同乗中、「後ろを見ないではみ出してくるよなあ」と言ったら、「駐車車両が悪いんだよ」と言われました。確かに駐車車両が悪いのは当然なのですが、はみ出し方のマナーが悪いことを訴えたのに、その部分は全くスルーされました。
私の感覚では、後ろの車にブレーキを踏ませる割り込みは、自分は気を遣わず、後続車に気を遣わせる、「他人への甘え」だと感じるのですが、名古屋の人たちはそうは思わないのかも知れません。むしろ、「仕方がない」「お互い様」という感覚なのかも知れませんね。
3. 左車線からのはみ出し、追い越しの「名古屋走り」への防衛運転
(1) 左車線の車に譲る。
左車線を速い車が走る現実をすぐに変えることはできません。名古屋では、基本的に先を急ぐ車は左車線を走る傾向があるのです。
ですから、一番左の車線には少しでも前に行きたい車が走っている、とまず認識することが大切です。
その上で、自車と並行して走る左車線の車、少し先行して走る左車線の車、スピードを上げて進んでくる左車線の車、これらは、自分の前にはみ出そうとしてくるものだ、と予測しておくことが必要です。
そして、これらの車が右に出ようとしていることを察知したら、おとなしく先に行かせてください。先に入れさせまいとして車間を詰めたりする人もいるでしょうが、思った以上に強引に入ろうとする車は多数います。
名古屋では、左からはみ出す車を優先するという意識さえあるのかも知れませんので、入れさせない方が悪いと思われる可能性すらあります。
おとなしく入れてあげる方が、事故・トラブルを避けるためには良いと思います。
(2) 一番左の車線は左折時以外極力走らない。
また、一番左の車線は先を急ぐ車が多いため、ハイスピードで車間を詰めて走っている場合も多いです。
しかし、駐車車両、自転車、歩道からはみ出す歩行者など、他の車線に比べて危険は多いのが現実です。ハイスピードで車間を詰めて走れば何が起こるかわかりません。
ですから、これらの速い車と同じペースで走るのでない限り(それはおススメしませんが)、一番左の車線は、左折時にのみ使うぐらいに考えていた方が、安全のためには良いだろうと思います。
(3) 路上駐車の乗降車時は十分に注意する。
さらに、どうしても路上駐車をする必要がある場合、車の乗降には十分気をつけてください。
路上駐車している車との距離を十分にとらないで、高速ですり抜けていく車は多数います。そうすれば、車線をはみ出さずに通過できる道も多くあるからです。
もちろん、こういう車がいなくてもバイク等と接触する危険は普通にありますが、名古屋では特に路上駐車時の乗降には十分気をつけた方が良さそうです。
一番左の車線なのに、思ったよりハイスピードで近づいてくる車もいますので、余裕を持った状態でのみ乗降してください。